イスラム教ってどんな宗教? 〜いつ、どこで、誰が作ったどんな宗教?イスラム教の基本と特徴をわかりやすく解説!〜
ここ数年、何かとニュースなどで話題になるイスラム教。
日本にはほとんどイスラム教徒が居ないため、日本とはほとんど馴染みがない宗教ではありますが、世界的に見ると非常に影響力の高い宗教のうちの一つです。
今回は、そんなイスラム教の概要を見ていきましょう!
それでは早速、レッツビギン!
目次
イスラム教の概要
イスラム教の現状
イスラム教は、今や信者数16億人を誇る、キリスト教に次いで世界に2番目に信者数が多い宗教です!
主に、中東地域やアフリカ大陸の北半分、東南アジアなどで信仰されています!
イスラム教の歴史
そんなイスラム教の歴史を、さらっと掻い摘んで見ていきましょう!
神のムハンマドへの啓示
むかーしむかし(600年頃)、あるところ(今のサウジアラビアのメッカという町)に、瞑想好きのムハンマドというおっちゃんが居ました。
ある日、いつものように洞窟で瞑想をしていると、なんともはやどこからともなく声が聞こえるではありませんか!
なんと瞑想中のムハンマドのところに天使ジブリール(ガブリエル)がやってきて、神様のお言葉をムハンマドに授けたのです。
で、それ以降、ムハンマドは度々神様のお告げ(啓示)を聞くようになり、それをみんなに言い伝えることにします。これがイスラム教の始まりです。
でも、当時のメッカには、伝統的な多神教文化があったため、みんなはムハンマドの話しを聞こうとはしませんでした。それどころか、奇妙奇天烈な話しをするムハンマドは、迫害されメッカからメディナという町へお引越しします。
このお引越しを「ヒジュラ」といい、この年を「ヒジュラ歴元年」と言います。
ヒジュラ歴は西暦みたいなもので、一部のイスラム教の国ではまだ使われてています。
ちなみに2017年は、ヒジュラ歴1439年です。
で、その後ムハンマドは、メディナで勢力を拡大し、色んな地域を侵略しながらイスラム教を広めていきます。メッカも大規模な軍で攻め立て、取り返しちゃいます。
ムハンマドの死後
ムハンマドは60歳くらいで死んじゃいますが、その後も勢力を伸ばし続けます。
イスラム勢力はその後イスラム帝国を立ち上げ、700年頃にはなんと東はパキスタン、西はポルトガルまで制圧しちゃいます!
で、そこからキリスト教の十字軍による反撃や、オスマン帝国(現在のトルコ)台頭などなんやかんやあり、現在に至ります。
なんにせよ、イスラム教は成立こそ650年頃と他の宗教に比べて遅いですが、成立後は瞬く間に中東を中心に広がり、成立100年後には既に、今現在信仰されてる地域のほとんどに広まり、今まで信仰され続けているという、根強い宗教であるのです!
イスラム教の信仰対象
信仰対象は、ユダヤ教とキリスト教と同じく「唯一神」を信仰します。
この神様、ユダヤ教の言葉(ヘブライ語)では「エホバ」や「ヤハウェ」といい、キリスト教の言葉(英語)では「ゴッド」と言いますが、イスラム教の言葉(アラビア語)では「アッラー」や「アッラーフ」と呼びます。
なので、エホバもヤハウェもゴッドもアッラーも全て元をたどると同じ神様なのです!
イスラム教の聖典
イスラム教の聖典は、クルアーン(コーラン)です。
クルアーンは「ムハンマドに下された神のお告げ集」です。これを一番の聖典としています。
しかし、「モーセに下された神のお告げ集」(旧約聖書の一部)や、「イエスに下された神のお告げ集」(新約聖書の一部)もクルアーンよりは重要度は低いものの、同じく聖典として大事にしています。
また、それ以外にも「ムハンマド自身の言葉を集めた本」であるハーディスも、クルアーンの次に重要な聖典としています。
クルアーンはアラビア語のみ
クルアーンは「アッラーのお告げ集」です。そして、アッラーはムハンマドにアラビア語で話しましたので、アラビア語で書かれたもののみが「クルアーン」と考えられます。
もちろん、各国語に訳されているクルアーンもありますが、厳密にはそれは「クルアーンという本」ではなく「クルアーンを訳した本」と認識されます。
なので、「クルアーンを読むために」アラビア語を勉強する人も、世界には多くいるのです。
イスラム教の宗教施設
イスラム教の宗教施設といえば「モスク」です。
世界中に豪華絢爛なモスクがあります!
これは、アブダビ(ドバイの隣)の王様が作ったモスクです!なんだかスーパーリッチなホテルみたいですね!
イスラム教徒の格好
イスラム教は、女性の服装にも特徴があります!
「女性は美しい部分を、家族以外の男性に見せてはならない」とクルアーンに書かれており、ムスリム(イスラム教徒)の女性は、その部分を隠します。
ただ、「美しい部分」の定義が、人や地域によって違うので、様々な服装があるのです。
比較的制約がゆるいトルコや、他国の若者の間では、ヒジャーブで髪の毛だけを隠すのが一般的です。
サウジアラビアなどの、信仰心が深い国などでは、アバーヤという服で、全身を黒で包みます。
更に信仰心が深い人は、ニカーブという、目しか露出しない服装をします。
で、最上級に隠されている服装は、アフガニスタンなどで着られるブルカ。
もはや目も見えてません。
このブルカは、今の時代にさすがにちょっと・・・ということで、国民の大半がムスリムが占めるモロッコでさえ販売禁止になる、というニュースが2017年1月に流れました。
イスラム教の聖地
イスラム教の聖地といえばココ!
サウジアラビアはメッカの「マスジド・ハラーム」というモスクの真ん中付近に置かれた黒い立方体、「カアバ」です。
世界中のムスリムは毎日お祈りをしますが、何処に居ようとこの「カアバ」の方角に向かってお祈りをします。
で、お金に余裕があれば、一生に一度はこのカアバをお参りすることがムスリムにとっての義務とされています!
そして、一年に一回お参りシーズンがあるのですが、その時のカアバはやばいんです!
右奥の黒いのんがカアバなんですが、やばくないですか?
これ全部人なんです。
悲しことに、毎年人数多すぎて事故が起こり、死者もでたりしちゃってます。
ただ、それほどムスリムにとって「祈る」ことは重要なんですね!
イスラム教の決まりごと
イスラム教は、ほかの宗教と比べて「戒律」が厳しいことでも有名です!
そんなイスラム教のルールを見ていきましょう!
五行六信
これは、イスラム教の基本的概念です。
五行は「ムスリムの義務」です。
- 「アッラーのみが神」と宣言すること。
- 1日5回、お祈りをする。
- 収入の一部を恵まれない人に寄付する。
- 一年のうちの約一ヶ月、断食をする。
- できるだけ、カアバにお祈りに行く。
六信は、「ムスリムが信じるべきもの」です。
- アッラー
- 天使
- クルアーン
- ムハンマド(預言者)
- 来世
- 運命
です。
この「五行六信」は宗派によって微妙に異なってきます!
また、詳細はイスラム教の宗派解説の記事で解説しますね!
偶像崇拝の禁止
ユダヤ教でもキリスト教でも偶像崇拝は禁止していますが、イスラム教は徹底的に禁止してます。
例えばキリスト教では、預言者イエスの絵画や像なんかはめちゃくちゃありますが、イスラム教では預言者ムハンマドの絵画や像を作ることも禁じてます。
なのに、フランスのシャルリーエブドという会社がムハンマドの風刺画を描いて、ムスリムがキレて新聞社を襲った事件は記憶に新しいですね!
また、その昔イスラム帝国が他国を侵略する際、異教徒が建てた偶像(仏教の仏像など)も徹底的に破壊してました。
現在も、ISが歴史的建造物を破壊してますが、これも偶像崇拝の禁止によるものなんですね。
もちろん、現在の世の中で「偶像崇拝をけなしたから、人を殺したり歴史的建造物を壊す行為」は、多くのムスリムが賛成しているわけではありません。
彼らの行為に対して、多くのムスリムは非難しています。
食に関してのタブー
イスラム教では、豚肉やアルコールを摂ることは禁じられてます。
豚肉がダメな理由ははっきりとしてませんが、アルコールは「酔っ払って神様の存在を忘れちゃうから」が理由とされてます。
ただ、敬虔なムスリムは「醤油の中の、保存料や発酵過程ででたアルコール」すら摂るのを嫌います。
なので、日本でもムスリム向けの飲食物は「これはムスリムも食べてもオッケーですよ」という「ハラール」マークがついているものも多いです。
断食(ラマダーン)
イスラム暦の9番目にあたる月、ラマダーン月では、ムスリムは断食します。
とは言っても、ラマダーン月は約30日あるので、断食するのは「日が昇って、降りる間」です。この間、食べ物はおろか水も飲めません。
なので、この期間中、イスラム教の多くの国では「仕事は14時まで!」など、勤務時間も短くなります。
お腹空いちゃうと、仕事にならないですもんね。
で、ラマダーンが明けると、イードと呼ばれるパーティーをします!オーイエー!
その他イスラム教の特徴
破竹の勢いで成長する、未来のナンバーワン宗教。
現在、世界での信者数は、
- キリスト教:22億人
- イスラム教:16億人
と、キリスト教がイスラム教よりも多いです。
しかし、キリスト教は欧米などの先進国で多く信仰される一方、イスラム教は大半がアジアやアフリカ北部の発展途上国で信仰されているのです。
で、先進国は日本のように、人口は伸びにくく、逆に発展途上国は人口は増えやすいので、いずれはイスラム教が世界ナンバーワンの規模になる日が来る、といわれています!
厳しい戒律も、守ります。神が望むならね。
イスラム教は、上にあげた女性の服装やラマダーンなど、他の宗教よりも戒律が多い宗教として知られてます。
でも、多くのムスリムは守るのです。
なぜか?それは「神が望んでいるから」です。
アラビア語圏のイスラム世界では、この「神が望むならね。」という意味の「インシャアッラー」という言葉が、頻繁に使われます。
例えば「明日電話するよー!神が望むならね!」だったり、「俺はお前を一生愛するよ!神が望むならね!」って感じです。
なんか僕ら日本人からしたら「えっ?神様次第なん?」ってツッコミたくなるところですが、それほどムスリムは神様とともに生活をしているのです!
宗派が違えば、政治も違う。
イスラム教の宗派は大きく分けて「スンニ派」と「シーア派」で分かれるのですが、彼らは歴史的に見ても仲が良くないのですね。
もちろん、今更「お前らの宗派なんてクソ食らえじゃ!」と揉めている訳じゃなく、厳密にいうと「宗派が異なっている国が、色々政治的なことで揉めている」のです。
代表的な例が、「スンニ派の総本山・サウジアラビア」と「シーア派の総本山・イラン」の2国がスーパーウルトラ仲悪いのです。
で、ただ2国間で揉めてるだけだったらまあまだマシなものの、他の国を巻き込みまくってるのです。その例が、シリアやイエメンの内戦。
サウジとイランの介入で複雑化・泥沼化しちゃってたりします。
このお話はちょっと長くなるので、また別記事で詳しく解説しますね!
イスラム教は恐い宗教?
現代で、イスラムと聞くと真っ先に出てくるものが「テロ」じゃないでしょうか。
9.11以降、イスラム教過激派によるテロが世界中で後を絶ちません。
2014年にはISという過激派集団が、ついには「国家樹立宣言」しました。どこの国も承認してませんが。
で、この人たちの基本的なアイデアとしては、「1000年前にイスラム帝国が他の宗教や民族の国を侵略してイスラム教を広めたように、俺らも原点に戻ってそうしよう!」というものです。
上の歴史の話でも話したように、イスラム勢力が侵略によってイスラム教を広げてきたことは間違いない事実です。(ちょっとざっくりと言っていますが。)
なので、イスラム的なことに限って見れば、彼らは「今までイスラムがしてきたこと」をしようとしているだけなんですが、もちろん時代が違います。
今の世の中、彼らの暴力行為を正当化する人たちなんて、イスラム世界でも少数派です。なんたって、まず時代が違いますからね。
ということで、テロなどの残虐行為を正当化しているのは、イスラム教徒でもごく一部の「過激派」のみです。大半のイスラム教徒は、テロなど望んでいません。
なので「イスラム教=危険」は誤りです。「イスラム教過激派=危険」なだけなのです。
このあたりの話も、デリケートな話になってくるので、また改めて詳しく解説していこうとおもいます!
ということで、今回はここまで!
また「宗派の違い」や、サウジやイランなどの「イスラム教の国際関係」、「イスラム教とテロの関係性」「イスラム教と女性」などは改めて別記事で詳しく解説致します!
それではまた別記事でお会いしましょう!チャオ!