現在も続く世界の紛争【前編】〜世界で起こる紛争・戦争・内戦をわかりやすく解説!〜
幸せなことに、私たちの住む日本は1945年の敗戦以来、約70年間もの間、戦争とは無縁の国で居続けることができています。
私たちにとって、戦争とは「画面の中」や「教科書の中」での出来事だ、と言っても過言ではないと思います。
しかし、世界を見てみれば今現在も戦争が行われ、尊い命が失われているのも事実。
決して戦争は「過去のもの」ではないのです。
ということで今回は「現在、どのような紛争が世界で起こっているのか」を見ていきましょう!
それでは早速、レッツビギン!
目次
戦争の定義
戦争・内戦・紛争の違い
まずはこれらの言葉の使われ方だけさらっと見ていきます!
戦争
戦争は、一般的に「国vs 国」による、武力を使った争いを指します。
なので、国内の揉め事には「戦争」というワードは一般的に使いません!
内戦
一方の内戦は、「国内の、武力による揉め事」です。
これはまあそのままですね。
紛争
これは単に「揉め事」を指す言葉です。国内外、どちちらでも良いです。
「戦争」や「内戦」というと、毎日兵士たちがドンパチしている争いを指すので、そこまで活発に武力の争いが無い揉め事は、この「紛争」という言葉で表します。
現在も続く世界の争いごと一覧
現在、悲しいことに世界では非常に多くの紛争が存在します。
まずは、世界でどのような紛争があるのでしょうか?
こちらをご覧ください!
世界には様々な紛争がありますが、有名どころ20個をピックアップしました。
今回は「前半」ということで、その中の、
- 朝鮮戦争
- フィリピン戦争
- ミャンマー紛争
- 東トルキスタン紛争
- カシミール紛争
- ワジリスタン紛争
- アフガニスタン紛争
- イエメン内戦
- ソマリア内戦
- トルコ・クルド紛争
の10個を見ていきましょう!
1:朝鮮戦争
紛争名 | 朝鮮戦争 |
---|---|
開始年月 | 1950年6月 |
場所 | 北朝鮮・韓国 |
交戦勢力 | 北朝鮮 vs 韓国 |
原因 | 朝鮮半島の覇権争い |
ご存知、朝鮮半島を二分した「朝鮮戦争」。
この戦争の原因は、第2次世界大戦終了後に、朝鮮半島を欲しがったアメリカとソ連(ロシア)のケンカです。いわゆる「冷戦」ってやつですね!
アメリカは南の韓国を応援し、ソ連は北の北朝鮮を応援する。
1950年に始まった朝鮮戦争、結局勝負はどっちつかずで3年後の1953年7月には「休戦」という形で和解し、韓国と北朝鮮の間で新たに「38度線」という国境線を引き、一旦は解決となりました。
でも、あくまで今現在も「休戦中」です。38度線には、常に緊張が走っています。
北朝鮮も韓国に対する挑発行為を続けており、ひょんなことから再度戦争が始まる可能性だってあるのです。
2:フィリピン紛争
紛争名 | フィリピン紛争 |
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開始年月 | 1970年頃 |
場所 | フィリピン南部・ミンダナオ島 |
交戦勢力 | フィリピン政府 vs イスラム勢力 |
原因 | イスラム勢力の独立運動 |
フィリピン南部に位置するミンダナオ島は、お隣マレーシアやインドネシアの様に元々イスラム教徒が多く住んでいました。
しかし、第二次世界大戦後にフィリピンが独立すると、フィリピンの大半を占めるキリスト教徒たちが続々とミンダナオ島にやってきました。
そこで、肩身が狭くなったイスラム教徒の中で「モロ民族解放戦線」や「モロ・イスラム解放戦線」などののイスラム勢力が政府に反乱を起こし、紛争となりました。
現在では、イスラム教徒の自治を認める協定がフィリピン政府と交わされたものの、現在も断続的に戦闘や襲撃が起きています。
3:ミャンマー紛争
紛争名 | ミャンマー紛争 |
---|---|
開始年月 | 1948年頃 |
場所 | ミャンマー内各地 |
交戦勢力 | フィリピン政府 vs 少数民族(複数) |
原因 | 少数民族の独立運動 |
ミャンマーは、約7割がビルマ族という民族が占めていますが、残りの3割を100以上の様々な民族が占める多民族国家です。
そんなミャンマー、1948年にイギリスから独立したのですが、その際に少数民族たちが独立運動を始めました。
独立運動を行っている代表的な民族としては、
- カレン族(南東部)
- カチン族(北部)
- コーカン族(東部)
- トーアン族(中部)
などがあり、現在も断続的にミャンマー政府軍との戦闘が続いております!
ミャンマーといえば、「軍事政権 vs アンサンスーチさん率いる民主政党」の対立が多く取り上げられがちですが、以上のような民族対立も大きな問題なのです。
4:東トルキスタン紛争
紛争名 | 東トルキスタン紛争 |
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開始年月 | 1949年頃 |
場所 | 中国北西部 |
交戦勢力 | 中国政府 vs ウイグル族 |
原因 | ウイグル族の独立運動 |
これはニュースでもよく聞くアレですね!ウイグル問題です!
中国の北東部、ウイグル自治区にはウイグル民族が住んでおり、そのエリアを「新疆(しんきょう)ウイグル自治区」として、中国政府は管理しています。
このウイグル民族、いわゆる「中国人」と呼ばれる「漢民族」ではなく、トルコ系の民族なため、話す言語(ウイグル語)も違えば宗教(イスラム教)や文化だって中国とは異なります。
そしてこのウイグル地方、石炭・石油・天然ガスなんかの資源がたくさんあるので、中国としては手放したくないんですが、ウイグル人としては、文化などが全く違う中国から「東トルキスタン」として独立したい!と考えているため、両者の間で揉めにもめているのです。
また、ウイグル地方には人が住んでいない広大な土地があるので、中国は核実験場として使っていたりします。これも、放射能問題やらでなにかと問題になってます!
5:カシミール紛争
紛争名 | カシミール紛争 |
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開始年月 | 1948年 |
場所 | インド北部 |
交戦勢力 | インド vs 中国 vs パキスタン |
原因 | 3国による領土問題 |
日本でも竹島や尖閣諸島、北方領土などの領土問題がありますが、このカシミール紛争は、世界で最も有名な領土問題のひとつです。
事の発端は、第二次世界大戦の終わりまで遡ります。
第二次世界大戦までは、インドとパキスタンはともに「イギリス領インド」でした。
ただ、イギリスは第二次世界大戦には勝ったものの借金まみれになったので、もはやインドの運営維持なんてできる状態ではありませんでした。
てことでイギリス領インドは独立することになり、ヒンドゥー教エリアがインド、イスラム教エリアがパキスタンとして独立しました。それが1947年。
で、その翌年の1948年から、インドとパキスタンが、両国の間のカシミール地方の領有権を巡っての戦争をします。(第一次印パ戦争・1947-49)
その頃、中国とソ連は同じ「社会主義国」として仲良しだったのですが、同じ社会主義でもなんやかんや細かい部分で意見が食い違い、対立してきます。
そんな中、ソ連が印パ戦争でインドを支援したので、インドと中国の関係も悪くなってきます。
で、中国とインドの間で戦争が起こり(中印戦争・1959-62)、中国もカシミール地方の一部に進出します。
その後、第二次印パ戦争(1971)やカールギル紛争(1999)などを経て、現在もインドとパキスタンの間でしばしば戦闘が起こっています。
中国は明らかな戦闘はほとんどしてませんが、領域侵入など、軽いちょっかいをよく出しています。
6:ワジリスタン紛争
紛争名 | ワジリスタン紛争 |
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開始年月 | 2004年 |
場所 | パキスタン北西部 |
交戦勢力 | パキスタン政府 vs イスラム過激派 |
原因 | イスラム過激派の反抗 |
2014年に17歳にしてノーベル平和賞を受賞したマララさんの問題でも世界的に有名になってしまったこのワジリスタン紛争。
パキスタン北西部のワジリスタンという地域は、言っちゃえばすごい田舎です。
そして、このあたりは現在になっても、昔からある部族社会が中心で、パキスタン政府もあまり管理していない土地でした。
そこを狙ったのが、隣国アフガニスタンで長年反政府活動を行っているイスラム過激派集団、ターリバーンやアル・カーイダです。
パキスタン政府の管理が行き届いていないことをいいことに、彼らはやりたい放題。
2012年には、ターリバーンを批判する活動を、お父さんとともに続けていたマララさんをターリバーンが襲撃し、彼女の頭を打ち抜きました。(ただ、マララちゃんはその後イギリスの病院まで救急搬送。そして奇跡的に助かりました。)
今現在も、テロや戦闘が続いている、世界で最も危険な地域のひとつです。
7:アフガニスタン紛争
紛争名 | アフガニスタン紛争 |
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開始年月 | 1978年 |
場所 | アフガニスタン全土 |
交戦勢力 | アフガニスタン政府 vs ターリバーン(現在は) |
原因 | イスラム過激派の反抗 |
悲しいことに、アフガニスタンは1978年から約30年間、内戦が途絶えない国です。
また、交戦勢力も時代によって移り変わっており、非常にややこしい情勢でもあります。
アフガニスタン紛争の始まりは、1978年。軍事クーデターにより、これまでの王様を追放し、社会主義の国となりました。
でも、イスラムを深く信仰する人たちは、社会主義化を望みません。イスラムの名の元の戦士たち(ムジャーヒディーン)が政府にケンカを売ります。
そこで出てきたのがソ連。ソ連軍がアフガニスタン政府を守るために介入し、「ソ連軍+アフガン政府軍vs ムジャーヒディーン」の内戦が始まります。(1978-1989)
しかし、ソ連は介入したものの、戦争は泥沼化になり、次第に世界中から「それってただソ連がアフガニスタン侵略しただけちゃうのん?」と突っ込まれはじめます。
で、開始から10年後、ソ連軍は全面撤退します。
その後、政権を握ったのが「ムジャーヒディーン」達でした。
ただ、ムジャーヒディーンにも色んな派閥や集団があったので、次はムジャーヒディーン達の内輪もめが始まっちゃいました。(1989-2001)
またもや内戦が始まってしまします。
で、その内戦の中で生まれ、力をつけた組織が「ターリバーン」というイスラム過激派組織です。
このターリバーン、結成当初はイスラムの名の元に、荒れ狂ったアフガニスタンをいい感じに収めていたため、住民の支持を受けて2006年にはアフガニスタンの大部分を支配しちゃいます。
しかし、支配を進めていくにつれてイスラム色が強くなっていき、他民族・他文化を排除を推し進めていきます。それにつれ、住民の支持も低くなっていきます。
そんな中で起こったのか、2001年の9.11です。
アメリカ政府が、アフガンのターリバーン政権が9.11の犯人を匿っているとして、引き渡しを要求しますが、ターリバーン政権はそれを拒否します。
それに怒った当時のアメリカのブッシュ大統領がアフガニスタンに戦争を吹っかけます。(アフガニスタン戦争・2001-2014)
本気を出したアメリカを前に、ターリバーン政権は崩壊し、親米政府が樹立しました。
で、そこから今まで、親米政府にターリバーンの残党や、アル・カーイダなどのイスラム過激派が反抗し、アフガン全土でテロや戦闘を起こしている、という状態ですね!
8:イエメン内戦
紛争名 | イエメン内戦 |
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開始年月 | 2015年1月 |
場所 | イエメン全土 |
交戦勢力 | 大統領派 vs フーシ派 vs イスラム過激派 |
原因 | 派閥争い+過激派の反抗 |
イエメンは、昔からイスラム教の「ザイド派」という宗派が力を持っており、国を治めていました。
しかし、1960年頃からは、宗派にあまりこだわらない「汎アラブ主義(宗派よりも、アラブ人としての民族性を大事にしようぜ!)」や、社会主義勢力の台頭により内戦状態になり、北イエメンと南イエメンに国も別れちゃいます。
で、1990年には国が統一し、国もしばらくは安定しましたが、2000年頃からザイド派の軍事部門「フーシ」がを力を伸ばしてきます。
そして2015年1月にはフーシがクーデターを起こし「ハーディー大統領派 vs フーシ派」の戦いが始まります。
加えてその内戦に便乗する形で出てきたのが「アンサール・アル・シャリーア」などのイスラム過激派です。
現在も「ハーディー大統領派 vs フーシ派 vs イスラム過激派」の三つ巴の戦闘が、毎日のように行われています。
9:ソマリア内戦
紛争名 | ソマリア内戦 |
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開始年月 | 1980年頃 |
場所 | イエメン全土 |
交戦勢力 | ソマリア国内の有力氏族 |
原因 | 氏族の権力争い |
ソマリアでは1969年に、バーレさんがクーデターを起こしソマリアの大統領になりました。
しかしその後、バーレさんは独裁色が強くなり、1990年頃には反政府勢力に倒されます。
で、反政府勢力はバーレさんを倒して政権を握ったのはいいものの、次は「アイディードさん vs ムハンマドさん」の内輪もめが始まります。そこでムハンマドさんはPKOや米軍などに助けを要請しますが、アイディードさんが撃退しちゃって内戦は泥沼化します。(1995年頃)
そんなこんなで内戦中のソマリアは、無政府状態の無法地帯状態です。
なので、一刻も早く「みんなの政府」を作って「みんなのルール」を作っていかないとヤバいのです。
しかし、ソマリア(というかアフリカの多くの地域)は、昔から血縁や家柄が重視される「氏族社会」です。そこで、有力氏族たちの意見がぶつかりまくり、話し合いも一向に進まず、内戦が続いている、という感じですね!
また、アル・シャバーブやアル・カーイダなどのイスラム過激派集団も暴れております。
10:トルコ・クルド紛争
紛争名 | トルコ・クルド紛争 |
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開始年月 | 1978年頃 |
場所 | イエメン全土 |
交戦勢力 | トルコ政府 vs クルディスタン労働党 |
原因 | クルド人の独立運動 |
トルコ東部やシリア北部に住むクルド人。
その数およそ3000万人。世界で見ても大きな民族です。
しかし、彼らは「自らの国家」を持っていません。
そこで、クルド人のための独立国家を作ろう!ということでできた集団が「クルディスタン労働党」です。
彼らは1978年に結成すると、1984年にはトルコ政府に対して攻撃を始めます。
2003年にはトルコ政府との和解を発表しますが、現在もトルコとシリアの国境付近にて、断続的に戦闘が行われています。
ということで、今回は世界の紛争の前半パートを見ていきました!
次回は、後半パートとして、
- シリア内戦
- パレスチナ紛争
- キプロス紛争
- ウクライナ内戦
- 神の抵抗軍の反乱
- 南スーダン内戦
- ダルフール紛争
- マリ北部紛争
- 西サハラ紛争
- コロンビア内戦
を見ていきます!
それではまた別記事でお会いしましょう!チャオ!