米中貿易戦争とは?〜アメリカと中国は戦争中?米中の貿易問題をわかりやすく解説!〜 | Sekaika!![セカイカ!] | 国際情勢の基礎から最新ニュースまで、わかりやすく解説!
記事イメージ

米中貿易戦争とは?〜アメリカと中国は戦争中?米中の貿易問題をわかりやすく解説!〜

  • ニュース
  • 日本ではもうすっかり「歴史上の出来事」となっている戦争。

    でも、世界では中東やアフリカなどでは、悲しいことに現在もドンパチと戦争が起きています。

     

    でも、戦争って「武力で行われる戦い」だけではないのです。

    特にその例としてあげられるのが、この米中貿易戦争。

    貿易に関しての激しい戦いが、2018年現在アメリカと中国の間で行われております。

    ということで、今回はこの米中貿易戦争の解説をしていきます!

     

    それでは早速、レッツビギン!

     

    米中貿易戦争とは?

    アメリカと中国の輸入規制合戦

    貿易戦争は、戦争といってももちろんドンパチすることはありません。

    じゃあ何をしているかというと、お互いに輸入を規制しあってます。

    アメリカは、中国からの輸入を少なくし、中国はアメリカからの輸入を少なくしています。

     

    どうやって輸入を少なくしている?

    「輸入を少なくする」と言っても、主に、輸入をするのは一般企業です。

    例えば、日本であれば「トヨタが車のパーツを中国から輸入する」とかですね。

    なので、国が「輸入を制限したい!」と思っても、一般企業に「お前ら中国からあんま輸入すんなよ!」と言う風に、直接的に輸入量をコントロールすることは難しいです。

    じゃあ国はどのように輸入量をコントロールするのでしょうか。

     

    そのキーポイントが「関税」ですね!

    アメリカは中国からの輸入量を減らしたいので、中国からの輸入に関して高い関税をかけました。

    例えば、2017年にアメリカは、中国からの鋼鉄の輸入に、+25%の追加関税をかけました。

    鉄は中国で作った方が人件費やら材料費やらが安いので、アメリカの金属パーツを作る会社も、原料の鉄は中国から輸入しますが、中国産の鉄に高い関税がかかっちゃうと、結局アメリカの金属パーツメーカーにとっても、関税がかからないアメリカ産の鉄の方が安くなり、わざわざ中国から輸入しなくなります。

    結果、アメリカは中国からの輸入量を制限することが出来るのです!

     

    なぜ輸入を制限する?

    では、そもそも何故アメリカは中国からの輸入を制限するのでしょうか。

    理由は大きく、下記2点!

    • アメリカ国内の産業を守る。
    • アメリカ生まれの技術を守る。

    ことですね!

    1個づつ詳しく見ていきましょう!

     

    アメリカ国内の産業を守る

    これは、アメリカのトランプ大統領が最も大切にしていることの内の一つです。

    メイドインアメリカのものを増やしていこう!って動きですね。

    Embed from Getty Images

    例えば、車を作るにしても、それをアメリカで作れば、アメリカの車工場の従業員は給料が貰えますが、中国で作ればアメリカの車工場は必要なくなっちゃうので、従業員は解雇されちゃいます!

    それが様々な方面に広がっていくと、アメリカの人たちが働けなくなっちゃいますよね!それはヤバイ!

     

    アメリカ生まれの技術を守る

    これも非常に重要なポイントです。

    例えば、アメリカの企業が、スーパーな技術で、スーパーな商品を発明したとします。

    でも、人件費はアメリカより中国の方が安いので、実際の生産は中国の企業にお任せしたとします。

    でも、その商品を生産するには、もちろんそのスーパーな技術を中国の工場の人たちに教えないといけませんよね。

    そう、せっかく開発したスーパーな技術を、パクられちゃうリスクがあるのです。

    Embed from Getty Images

    もちろんスーパーな技術は国際特許などで守ることもできますが、残念なことにルールには抜け道もある場合が多いです。

    もしパクられちゃったら、アメリカの企業が作るより、中国の企業が作った方が結果的に安く作れるでしょう。そうなると、アメリカの企業の商品は売れなくなっちゃいますよね。

    このように、海外で生産するってことは、技術が流出しちゃう恐れもあるのですね!

     

    じゃあ最初から輸入なんてしなけりゃいいじゃん!

    こう見ると「輸入は悪!じゃあやめればいいじゃん!」って思いたくなりますが、そうはいかないのがこの世の中の難しいところですね。

    その理由としては、何と言っても「安けりゃ売れる」からです。

    Embed from Getty Images

    私たち一般消費者の意見からすると、同じクオリティの商品であれば、もちろん安い方を買いますよね。企業としても同じです。

    「中国製品を買ったら日本の会社は儲からなくなる!それじゃ日本の将来ヤバイから、日本製のものを買おう!」なんて思いながら買い物をする人なんて、ごく稀でしょう。

    それほど「安い」ってのは正義です。

     

    米中貿易戦争の経緯

    以上の様な事情で、アメリカは「中国からの輸入を制限しよう!」という動きを、トランプさんが大統領に就任した2017年から活発に見せています。

    では実際に、どの様なことが起きているのかを見ていきましょう!

     

    2018年1月

    まず最初に仕掛けたのはアメリカです。

    2018年1月に、太陽光パネルや洗濯機に追加の関税を掛け、輸入しにくくします。

    ただ、これは中国だけではなく、マレーシアや韓国などにも影響を与えるため、特に「対中国限定というわけではありません。

     

    2018年3月

    アメリカが鋼鉄・アルミニウム製品に追加関税を掛けます。これも特に中国限定というわけではありません。

    Embed from Getty Images

     

    2018年4月

    ここから中国の反撃が始まります!

    今までのアメリカによる追加関税は、対中国限定ではありませんでしたが、中国は多大なる影響を受けそうだったので、その仕返しとして、アメリカからの果物などに15%ー25%追加関税を行うことを発表します。

    Embed from Getty Images

     

    2018年5月

    中国側の反撃の発表で、一気にバトル突入か!と思われましたが、ここから少し落ち着きます。

    米中のお偉い方々の話し会いにより、少し和やかなムードに。

     

    2018年6月

    和やかムードと思いきや、事態は急変。

    アメリカは7月から、中国から輸入される製品に追加関税をかけること発表します。

    今までは国限定の追加関税は行ってきてませんでしたが、これが初めての「対中国」の規制になります。いわゆる「第1弾の関税措置」です。

     

    2018年7月

    アメリカによる、対中第1弾の関税措置が発動されます。輸入品目818品目・340億ドル相当の輸入品に対して、25%の関税を課すことになりました!

    340億ドルってどんなもんでしょうか?

    2017年のアメリカの対中輸入額が5000億ドルくらいなので、全体の約7%くらいに関税をかける、という感じですね。

    7%と見ると、まあそんなに高くない気もするんじゃないでしょうか。

     

    一方の中国も黙っておりません。

    アメリカからの輸入品545品目・340億ドル相当に25%の関税をかけることにします。

    この「追加関税を追加関税で返す」ことを、報復関税と言ったります!

     

    この初回の関税合戦、額だけをみると共に340億なので、一見おあいこの様に見えますが、実はアメリカと中国って、輸入額が全然違うんです。

    アメリカの中国からの輸入額は、上記の様に約5000億(2017年)なので、今回の340億の追加関税は約7%。

    一方の中国のアメリカからの輸入額は、約1300億(2017年)です。なので、今回の340億で約26%!

     

    同じ額でも母数が全然違うので、中国の方が断然強気な関税措置をとっているんですね!

    Embed from Getty Images

     

    2018年8月

    翌8月には、アメリカが更に284品目・160億ドル相当に25%の関税を掛けます。

    その報復として、中国も333品目・160億ドル相当に25%の関税を掛けます。

     

    これでアメリカは、中国からの全輸入金額約5000億ドルのうち、計500億ドルの約10%に追加関税を掛けました。

    一方の中国は、アメリカからの全輸入金額約1300億ドルのうち、計500億ドルの約38%に追加関税を掛けたことになります!

    アメリカが吹っかけた喧嘩を、中国がガッツリと喧嘩を売り返してる感じですね!これが第2弾の関税措置!

    Embed from Getty Images

     

    2018年9月

    ここまで中国に喧嘩を売り返されたら、アメリカも結構ブチギレちゃいました。

    アメリカが第3弾の関税措置を発動します。

     

    今回はアメリカさん、ほんとブチギレてます。

    なんと対中輸入5745品目・約2000億の追加関税を発動しました。

    第1弾は360億、第2弾は140億でしたが、今回はなんと2000億ドル。合計にすると2500億ドル。

    今回は規模が規模なので、関税率はまずは10%で、2019年以降は25%になります。

     

    対しての中国は、対米輸入5207品目・600億ドル相当に5%と10%の報復関税を実施しまいた。

     

    これでアメリカは、中国からの全輸入金額約5000億ドルのうち、計2500億ドルの約50%に追加関税を掛けました。

    一方の中国は、アメリカからの全輸入金額約1300億ドルのうち、計1100億ドルのなんと約85%に追加関税を掛けたことになります!

    これが第3弾!

     

    これまでの流れをまとめると、

    発動日 米の対中対象金額(ドル) 米の関税率 米の品目数 中の対米対象金額(ドル) 中の関税率 中の品目数
    2018年7月6日 340億 25% 818 340億 25% 545
    2018年8月23日 160億 25% 284 160億 25% 333
    2018年9月24日 2000億 10%(2018)
    25%(2019)
    5745 600億 5%と10% 5207
    未実施分 2500億 未定 残り全て 未定 未定 未定

    という感じになります!

     

     今後の展開

    第4弾の関税措置は・・・?

    アメリカ側は既に、2500億にも関税をかけることを既に発表しております。そうなると、中国から入ってくる全ての輸入品に関して、追加関税をかけることになります。

    この流れですと、中国も既に全輸入の85%に追加関税を掛けていますが、100%近い報復関税をかけることはほぼ間違いないでしょう。

     

    お互いノーダメージでは済まない!

    この米中の貿易戦争、果たしてどちらの勝利に終わるのでしょうか・・・

    結果は終わってみないとわからないですが、どちらも大きなダメージを負うのは間違いありません。

     

    アメリカにとって、輸入元ナンバーワンの国は中国です。
    おそよ19%。めちゃくちゃ依存していますね。

    そんな国からの輸入に関税がめちゃくちゃ掛けられると、国内の物価も上がり、国民の生活も苦しくなるでしょう。

     

    中国にとって、アメリカはダントツナンバーワンの貿易のお客さんです。

    ナンバーワンのお客さんが、「もうあんまり商品買わないよ!」と言ってきている訳なので、中国としてもピンチ。経済成長も止まっちゃうかもしれません。

     

    この貿易戦争は、お互いかなりリスキーなのです。

    しかし、もしアメリカが勝てば、破竹の勢いで世界ナンバーワン経済大国の座を狙う中国を蹴落とすこともできますし、

    逆に中国が勝てば、アメリカからナンバーワン経済大国の座を奪い取れる可能性も出てくるのです。

    Embed from Getty Images

    ということで、この貿易戦争は、

    世界のダントツトップツーのアメリカと中国が、お互いリスクを背負って、ナンバーワン経済大国の座を奪い合う殴り合い、とでも言えるのではないでしょうか!

    今後の動き、要チェックですね!

     

     

    ということで、今回はこれまで!

    また、別記事でお会いしましょう!チャオ!