こんなにもいる、世界の難民事情。〜世界に難民は何人?受け入れ国は?ランキング形式でわかりやすく解説!〜
日本は世界的に見て、難民の受け入れ数が非常に少ないです。
よって、多くの日本人にとっては「難民問題」は対岸の火事のようなものだと思います。
でも、もちろん難民問題は「同じ地球」で実際に起こっていることです。
いくら日本が難民受け入れに消極的だからといって「そんなの関係ない」で済まされる問題ではありません!
ということで、今回はこの「難民問題」の現状をわかりやすく解説します!
世界の難民数の現状
「難民」の定義
「難民」というと「住む場所を追われた人」の意味で使われる言葉ですが、実は大きく「難民」と「国内避難民」に分かれます。
「難民」とは「住む場所を追われ、国外に出て行った人」で、一方の「国内避難民」は「住む場所を追われ、国内の違うところに避難した人」です。
この記事では、上記のように「難民」と「国内避難民」の言葉を使い分け「難民+国内避難民」をひっくるめて「避難民」と表記します!
「移民」と「難民」の違いは?
「移民」とは、主に「経済的な理由」で他国に移住する人の事を指します。
例えば、メキシコからアメリカへ行く「不法移民」が増えていますが、この人たちは「メキシコだと働いてもお金にならないからアメリカに行こう!けど、ビザ降りるのムズイいから、ノービザ(不法)で行っちゃえ!」という感じですね。
一方の「難民」は「戦争や政府の弾圧などによって、その場所では生活していけないんで、他国に逃げよう!」という人たちです。
なので、決して「移民=難民」ではありませんのでご注意を!
避難民の総数(2015年)
それでは、避難民(難民+国内避難民)は、現在の世界ではどのくらいいるのでしょうか?
ソースは、避難民の援助を行う国連系の組織「UNHCR」です。
UNHCRによると、2015年末時点で、なんと約6530万人の避難民がいるとのこと。
その内訳は、
- 国内避難民:4080万人
- 難民:2130万人
- 先進国に庇護申請済:320万人
となっています。
「庇護申請」とは「難民として、受け入れてよー!」という国への申請です。申請済みで、その回答待ち、という感じですね。
ということで、上記の数字を見てみると、
「避難民6530万人」は、世界の人口(約73億人)の約0.9%です。
「0.9%」と聞くと少なそうですが、別の言い方をすれば「113人に1人」です。
約100人に1人が、戦争などの理由で故郷を捨てなければならない状態なのです。
100人に1人ですよ?そう考えると、非常に深刻だ、というのがわかりますね。
避難民が多い国
では、次にどのような国でこの避難民が多く出ちゃっているのでしょうか?
多い国トップ5を見ていきましょう。
5位:スーダン(約390万人)
世界で5番目に多い国はスーダンで、約390万人です。
全避難民に対して約6%を占めています。
スーダンは、2011年に「スーダン」と「南スーダン」と南北に国が分かれました。
この南北分裂以来、南北による激しい内戦が続いており、その結果、390万人の避難民が出ています。
4位:アフガニスタン(約410万人)
世界で4番目に多い国はアフガニスタンで、約410万人です。
全避難民に対して約6.2%を占めています。
アフガニスタンでは、かつて政権を握っていた「ターリバーン」と呼ばれるイスラム過激派勢力が現在も攻撃を繰り返しており、410万人もの難民を発生させています。
3位:イラク(約490万人)
世界で3番目に多い国はイラクで、約490万人です。
全避難民に対して約7.5%を占めています。
イラク難民の原因は、ご存知「IS」です。
ISは今はシリアでの活動が頻繁にメディアで取り上げられますが、発祥の地、そして本拠地はイラクです。
それにより、避難民が多く発生しています。
2位:コロンビア(約720万人)
世界で2番目に多い国はコロンビアで、約720万人です。
全避難民に対して約11%を占めています。
コロンビアは1960年代から今まで、政府軍と革命軍が内戦を続けてきました。
50年以上です。50年間も、内戦を続けてたのです。
それにより、避難民も大量に増えてしまい、その規模は世界2位となってしまいました。
ただ、2016年8月には和平合意が成立し、50年位も続いた内戦が終わりを告げました。
今後、避難民数は減少すると見られています!
1位:シリア(約1168万人)
世界で最も避難民が多い国はシリアで、約1168万人です。
全避難民に対して、なんと約17.8%を占めています。
その理由は、2011年から始まった「シリア騒乱」ですね。
始めは「政府軍vs派体制派」で始まったものの、その後アメリカやロシアの介入や、ISの参戦などで戦火は全国に広まりました。
結果、悲しい事に世界で最も避難民が多い国になってしまいました。
その他の国
その他の国で見てみると、
- 南スーダン(約257万人)
- イエメン(約256万人)
- マリ(約239万人)
- ソマリア(約230万人)
- コンゴ民主共和国(約217万人)
- ウクライナ(約194万人)
などの国が続いております。
難民が多い国のまとめ
以上のように、難民は主に「中東やアフリカ地域」で多く発生しています。
特に、ここ数年は「イスラム過激派」絡みの戦争が多いのが事実。
上に挙げた11個の国の中でも、
- シリア
- イラク
- アフガニスタン
- マリ
- ソマリア
の5つの国で起こっている戦争は、イスラム過激派が大きく絡んでおります。
難民受入数が多い国
では、以上の避難民のうち、外国へ逃れてきた難民を多く受け入れている国がどこなのでしょうか?
5位:エチオピア(約74万人)
世界で5番目に多く難民を受け入れている国はエチオピアで、約74万人です。
エチオピアは、スーダン・南スーダンの東隣の国なので、それらの国からの難民を多く受け入れています。
4位:イラン(約98万人)
世界で4番目に多く難民を受け入れている国はイランで、約98万人です。
イランは、アフガニスタンの西隣の国なので、アフガン難民を多く受け入れています。
3位:レバノン(約108万人)
世界で3番目に多く難民を受け入れている国はレバノンで、約108万人です。
レバノンは、シリアの西隣の国なので、シリア難民を多く受け入れています。
2位:パキスタン(約156万人)
世界で2番目に多く難民を受け入れている国はパキスタンで、約156万人です。
パキスタンは、アフガニスタンの東隣の国なのに加え、文化や風習なども非常に似ているので、アフガン難民を多く受け入れています。
1位:トルコ(約254万人)
世界で1番目に多く難民を受け入れている国はトルコで、約254万人です。
トルコは、シリアの北隣の国なので、シリア難民を多く受け入れています。
その他の国
その他の受け入れ数が多い国としては、
- ヨルダン(66万人)
- ケニヤ(55万人)
- ウガンダ(48万人)
などが続きます。
難民受入数が多い国のまとめ
上記の数字は、2016年に急増した「ヨーロッパへの大規模な難民流入」が入っていないため、それを含めるとドイツは50万人〜80万人ほどなのでトップ5に入りそうです。
ただ、それでもあれだけ移民問題がニュースになった「欧州諸国」よりも、トルコやパキスタン、レバノンなどの国の受入数の方が、圧倒的に多いのです。
トルコは日本でも多少ニュースにはなっていたものの、パキスタンやレバノンの移民受入なんて、日本ではほとんど聞かないでしょう。
しかもこのレバノンはスーパー規格外の規模で難民を受け入れています。
レバノンの人口って、元々400万人くらいなんですね。
なのに、108万人に難民を受け入れているのです。
この数字すごくないですか?
人口の1/4の数の難民を受け入れているのです。
この様に、レバノンの様に、無理をしてでも難民を受け入れてくれる国があるからこそ、この世の中は回っているのです。
このあたりは、もっと日本のニュースでも取り上げられるべきではないでしょうか。
まとめ
以上のような数字が、現状(2015年)の難民・国内避難民の現状です。
先にも言いましたが、日本は世界の中でも難民受け入れに非常に消極的な国です。
従って、多くの日本人のとっては、難民問題は「画面の中」で起こっている様な感覚だと思います。
でも、同じ地球に住む人間の「113人に1人」は、自分の意思に反して「故郷を捨てなければならない」状況でいるのです。
その事実、あなたはどの様に受け取りますか?
ということで、今回は以上です!
また、難民問題に関しては引き続き新たな数字が出たら更新していきます!
それではまた別記事でお会いしましょう!
チャオ!